「ここあ?」

「あ、変わった名前
ですよね

よく言われます」

「いやいやいや
まだなんも
言うてないやん」

「…ごめんなさい」

「なんで謝るん?
謝る必要ないやん」

その人がまた笑う

…よく笑う人だな

つられて私まで
笑ってしまう

「ここあってどう書くの?」
「心に愛です」

「可愛い名前やな―」

私は自分が可愛いと
言われてるわけでもないのななぜか嬉しくなってしまう

「名前は可愛いって
言われます」

「なんで、そんな自分
の事下げるん?

心愛ちゃん可愛いやん」

…可愛い?

私は顔が赤くなるのを
感じる

「可愛いなぁ

似合うなぁ
心愛って名前」

その人は腕をくんで
うなずく

私はなんだか心が
あったたかくなって
1つぶの涙が流れる

「ど…どないしたん?!」

「…なんでもないです

なんかそんな事
言われたの初めてで

…嬉しくて」

「そんな?!」

私はこくんと頷く

「心愛って名前
似合わないって
いつも言われてたから…」

「なんで?!
優しそうで可愛くて
心に愛ってかんぢやん!!」
「ありがとう
ございます」

そう言うと私は笑う

…作りものぢゃない笑顔