ベッドに座って抱きしめた。



めっちゃあったけぇ…。



俺なんかのために泣いてくれる…。



「俺って兄妹いたんだ」

「えっ?」

「年子の妹だった。そっくりでさ。まぁ事故で小学校前にいなくなっちゃったけど」

「そう…なんだ…」

「そこから母親がおかしくなって。俺のこと妹だと思い込んでて…。死んだのは林太郎でしょ?って」



着るものも全部女ものになってて、ランドセルまで赤になってた。



でも母さんが悲しくないならって俺も妹のふりしたりしてて…。


子供ながらに親の顔色ばっかり伺ってた。



とにかくそれでイジメられたけど、俺にはそんなことどうでもよかった。



だって父親は家に帰ってこなかったから…。



だから俺が母さんを守るんだって勝手に思ってた。



結構デカイ会社をやってて、たまに二人でパーティーとかに出てたんだけど、そこで知り合った青年実業家と不倫し始めてから母親が俺に見向きもしなくなった。



離婚が決まった時に俺の親権で揉めて、母さんは俺のことも妹のこともいらないって言ってた。



そこで初めて自分が必要とされてないことに気づいて…。



俺は完璧に放置。



父親の顔だってもう覚えてないくらい。



金だけの繋がり。



母さんとはまた今も溝が深い…。