「ひーめ」

「……ん……?」

「起きろ」

「……んーん……」

咲はゆっくりと身体を起こし、立つのかと思いきや、晶の腰にがっしりと掴まる。

「……どした?」

「……帰ろ……?」

「うん。でも姫、掃除当番」

「……」

「それに部活も」

「……ほぇ……」

「立って」

晶に促され、咲が可愛らしく欠伸をし、瞳を潤ませ、掃除用具を取りに行く。

「姫ー! 机下げなきゃ駄目だろー!」

「あ……忘れてた……」

こんな可愛らしい姫は我が城華学園(男子校)の二学年内でアイドル的な存在だ。