早くマサルドリアに戻らないといけない。でも、どうやって戻れば…。

『ここは離島だ、船でもないと帰るのは不可能だな。』

浜辺に立って、水平線を眺めながらディーンは言った。

『船なんて…。あっ!!』

『どうした!?船が見えたか？』

『そうじゃなくて、思い出した事があるの。前に何度かマリア達が一瞬でどこかに消える魔術を使ってた事があったの。あれを使えば何とかなるかも。』

『本当か!?早速試してみてくれ。』

あたしは記憶を辿りながら光の魔法陣を浜辺に書いた。

『マリア達は何も無いところからこの魔法陣を出してたけど…。』

『呪文ではないのか？』

『たぶん違うと思う、呪文を唱えるところは一度も見たことないもの。』

どうしよう、てっきり魔法陣を書けば出来ると思ったんだけど。やっぱり、そう簡単にはいかないわね。試しに魔法陣に魔力を込めても無駄だった。

『う〜ん、だったら…。』

今度は魔法陣を頭に浮かべ、行きたい場所を思い浮かべながら魔力を放った。すると、あたしの足下に魔法陣が現れ、パッと１０メートル程移動した。

『やった〜!!出来た､出来たよディーン。』

『凄いぞ、見ただけで魔術が使えるとは貴様もかなり成長しているな。』

ディーンに誉められ、少し頬を紅く染めた。

『さあ、今度は一気にマサルドリアに行くわよ。』

ディーンの手を掴んでマサルドリアのお城の中庭を強くイメージした。そして思い切り魔力を放った。

ギュッと閉じた瞳をゆっくり開と、そこはイメージした通りのマサルドリアの中庭はだった。

やった！またディーンに誉めて貰えると思い、ディーンの顔を見た。ディーンは鋭い眼差して辺りを見渡している。

『ディーン？』

『城が荒れていないところを見ると、クリスはまだ来ていないようだな。』

そうだった、浮かれている場合じゃなかった。クリスが来てないなら早くクリスのことをみんなに知らせなくちゃ。