船がカカロンのある大陸に到着した。この港はアレクと最後に別れた場所、あたし達は直ぐにカカロンへと向かう馬車に乗ってカカロンに急いだ。

レインがカカロンに向かってから一週間近く経ってる、多分カカロンもマサルドリアやファランみたいに…。振り払えない記憶に震えながらカカロンに到着した。

だけどカカロンに着いて目に映る状況にあ然とした。カカロンは前に来たときと変わらない姿のまま、城も街もキズ一つないキレイなままだった。

『ナニこれ？全然無事じゃない！いや、無事で良かったんだけど…どういうこと!?』

想像と違う展開に頭が混乱してきた。

『奴らより我々が先に着いたのでは？』

『いや、それはないだろう。レインは私たちより早くカカロンに向かったのだから。』

シーバーのもしかしたらの発言をお父さんがキッパリと否定した。

とにかく街に入ろうということになって、あたしはしっかりと頭と顔を隠して街の中に入った。

前にカカロンに来た時は城の裏門から入ったからカカロンの街を歩くのは初めてだった。石造りの建物ばかりで、暑い気候のせいか色黒の人ばかりだった。

商店通りに出ると、お店はしっかりとした建物ではなく直ぐに片付けられるようなテントみたいなお店が並んでいた。何事もないように人々が普通に生活している。

『ねぇお父さん、シーバー。本当にレインはここに来たのかな？』

もしかしたらレインは別の場所に行ったのかもしれない。そんな気持ちが分かるような顔で二人を見ると、シーバーが直ぐに動いた。

『少し街の者に聞いてみましょう。』

シーバーは近くを歩いていた頭にカゴを乗せた若い女性に話しかけた。

『すまない、最近この国で変わったことがなかったか？』

『変わったこと？そう言えばつい最近アレクセイ王子が婚約なさったんですって。しかもその相手は双黒の魔族で、さらにマサルドリアの女王らしいのよ。近々御披露目を兼ねた壮大な結婚式があるらしいわよ。』

『なんだって!?』

あたし達は声を揃えて驚いた。マサルドリアの女王ってもしかしてあたし!?あたしとアレクの結婚式なんて冗談でしょ!!