ここはどこ?真っ暗で何も見えない。たしか海に落ちて、それから・・・それから?もしかして海に落ちて死んじゃったの!?頭がぼーっとして何も考えられない。

『見つけて。』

誰?

『僕を見つけて。』

不思議な声が聞こえてきたと思ったら目の前が急に明るくなってきた。この声は何なの?聞いたこない声なのに懐かしいような気がする。

『・・・・。』

何?何て言ったの?

『・・・カ・・・ギ。』

『鍵?』

パッと目を開くと見なれない天井が見えた。

『何か夢を見てたような、鍵って何?そうだ、あたし海に落ちたんだ。けど、ここどこ?』

ゆっくり周りを見回すと、古そうな本棚と小さめの丸いテーブルと椅子が一つだけある狭い部屋だった。木製の壁は少しカビ臭い。扉が開いて金髪の少年が入ってきた。彼はあたしに何か話し掛けてきたけど、言葉が分からない。あたしは必死でここはどこ?とかあたしはどうしてここにいるの?とか聞いたけど通じなかった。彼はそっと水とパンを一つ差し出して、あたしはそれを受け取って食べた。ほっと一息つくと、急に頭が痛くなってうずくまると少年がまた声を掛けてきた。

『どうしたの?頭痛いの?』

『大丈夫、あれ?言葉分かるんだ。ねぇ、ここどこ?』

『ここは僕の家、お姉ちゃん海岸で倒れてたんだよ。』

『ここ東京?』

『トーキョーって何?ここはコロア国の南端ベルナラだよ。』

『えっ!?日本じゃないの?あたし外国まで流されちゃたんだ。』

どうしよう、どうやって帰ろう?お金持ってないし、そうだお父さんに電話すれば助けてもらえる。

『ねぇ、電話貸してくれない?』

『デンワって何?お姉ちゃんって面白いね。さっきも変な言葉喋ってたし。』

この子何言ってるの?今時電話を知らない人なんているの!?言葉だってそっちが急に日本語を話し出したんじゃない。