扉の中は強い光で辺りがよく見えなくて道が分からないし、足元はフワフワしてなんだか危なっかしくて怖かった。

けど真っ直ぐ歩いていたら急に辺りの景色がはっきりしだして、気づいたらあたしは地球の自分の家の自分の部屋に立っていた。

小さい頃からずっと使っていた机に毎日寝ていたベッド。アッチの世界に行ってからずいぶん経ったのに何も変わっていないあたしの部屋。

机の上に飾ってあるお父さんと一緒に撮った写真を手にとって眺めていると、部屋のドアが開いてお父さんが入ってきた。

『あ･･･雨･･･か？』

お父さんはかなり驚いていて幻を見ているみたいにあたしを見ていた。

『お父さんっ!!』

あたしはお父さんに抱きついた。

『本当に雨なのか!?どうして、いままで、いったい･･･』

『もう、落ち着いて。正真正銘雨だよ。ただいま、お父さん。』

『お帰り、雨。』

しばらく帰って来たことを喜んだ後、アッチの世界のことを話した。やっぱりお父さんはアッチの世界のことを知っていたみたいであたしの話しを聞いても驚いてなかった。

『･･･という訳であたしはお父さんに真実を聞く為に地球に帰ってきたの。お願い、お父さんの知ってること全部話して。』

『･･･ずいぶん辛い思いをさせていたんだね。雨には本当に悪いことをしたね、それにレインにも。』

『ねぇ、あたしとレインはどういう関係なの？あたし達は何者なの？どうしてあたしは魔族なのに地球にいたの？』

『雨、落ち着きなさい。全部話すから何も言わずに最後まで聞いておくれ。』

お父さんの顔は変わらないのに、見せてくれた笑顔はどこか哀しげでよそよそしく感じた。