未恋は、今から数えて丁度四ヶ月前に、この町に引っ越してきた。たまたま、華子が彼氏と二十時にこの祭りの会場で落ち合う事になっているので、その待ち時間の間に未恋にとっては初めての、この影祭りの案内をしてもらっていたのだった。
未恋には、先程の二人の会話どうり、彼氏はいない。そして今までも。浴衣姿でキメてきた華子とは対照的に、特に着飾ることもなく、上は白いTシャツ、下はジーンズに、今時古風なおさげと大きな丸眼鏡。そして全くのすっぴん。とても、男の子からお声がかかるとは思えない。


「…ねえ、未恋。未恋は彼氏欲しいとは思わないの?」
「何か、面倒くさそう。一人の方が気楽よ。」
「あ~あ、勿体ないなあ。正直見た目はぱっとしないんだけれど、その実…」
華子はそう言うと、いきなり未恋のおさげをほどき始めた。
「!?…ち、ちょっと華子!一体何するの…」