その姿は、見る人によっては、動物に見えたり、見覚えのある、有名彫刻家の銅像に見えたり、はたまた、時刻的にも、お腹の減っている人にとっては、何かおいしそうな食べ物に見えたり…とらえ方も百人百様、めいめいが、自由気ままに楽しんでいい祭りなのである…


「…と、いうのがまあ、この祭りの簡単な概要ね。
ところで、この影祭りには、実はとてもロマンティックな伝説があるんだけれど…知りたい、未恋(みこ)?」
「…別に。特に興味ないもの。」
「…はあ、相変わらずのノリの悪さだこと。まあ、未恋にも、私の様に素敵な彼氏がいれば違うんだろうけどね。」
「そうね、華子の様にいれば、いればで違うかもね。」
ケイが独り物思いにふけっている頃、この影祭りの会場に、岡山未恋という名の一人の少女が、友達の華子と訪れていた。