啓side
「ごめん、待たして」
走りながら飛夢の元に向かった
「気にするな」
そうして僕の頭を撫でた。
やっぱり飛夢は優しい。
僕が待たしていたことに全く怒らない。
二人で登校している時、同じ学校の人たちからの視線が痛かった。
もう、これでもかってぐらいに。
「いちいち見んな。うぜー」
でも、飛夢のこの一言で周りはこっちを見なくなった。
飛夢は今、僕に気を遣ってくれた。
それがどうしようもない程に、嬉しかった。
「ありがとう」
飛夢の顔を見上げて言ったら、顔を真っ赤にさせられた。
「あ…あぁ」
照れ隠しの飛夢の返事は、僕にはとても新鮮なものに感じた。
「あ、そうだ。昼迎えに行くから、待っとけよ」
「うん、分かった」
昼迎えに来てもらっても、何もすることないけど?
一体何するつもりかな、飛夢は。
この時の僕は、全く検討がつかなかった。