「ちょ!……あっ、あの」


「なんだよ、啓?」



いつの間にやら、宇佐美先輩は俺を壁に追い詰めていられんですけど。

それに、なんか顔近くないですか?


「顔…近いんですけどー」


「気にすんな」



だんだん小さくなる、僕の声。


だけど、宇佐美先輩はそれがなんだ?
とでもいうように、気にするなとか言うし……




あ~~~~
もうどうすんだよっっ!!

逃げ道も、先輩にうまいこと絶たれてるし。





「なぁ、啓。俺の名前読んで」


「あっ……」



宇佐美先輩は、腰にくるエロボイスなんですけど!!!

啓、僕は男なんだろ!?
覚悟を決めるんだ。

携帯の為だと思えば、恥ずかしくない!!





「つば……さ」

「聞こえない」


絶対に聞こえてただろ~


「飛夢!!!」

思い切って、大声で呼ぶと先輩は嬉しそうに笑ってくれた。