誰も喋らない静かな車内


でもイヤじゃない
窓の外の流れる街並みを見ながら微笑む

右手は北城さんの手と重なり合って暖かかったから


しばらくすると、車は壁面を走る
大きな家なんだなと見ていると、車がゆっくり止まった


「…」


大きな門の前にスーツを着た男二人が立っていて軽くお辞儀をした


そして門が開き、車はゆっくり中に進む

手入れされた庭園の間を通り、一番奥に建つ日本家屋の前に止まった