眉を顰めて呟く。
すると、男は笑顔を浮かべてあたしに
話しかけてきた。

「君、野々原優梨だよな? 俺は、歩夢。
篠原歩夢」


し……、篠原歩夢。


手を差し出す男に合わせて、あたしも
同じように手を差し出し重ねた。


意味の分からないあたしは、ドキドキと
不安でいっぱいだった。


「あ、ゆむさん? あたしのこと、何で
知ってるんですか?」

重なった手を離して、篠原歩夢に
視線を上げる。