楽しい1日はあっというまに夜。
あたしと美咲はこっそり部屋を抜け出した。
「美咲成績いいほうなんだけどなあ。」
このことがばれたら成績が下がるどころじゃない。
やっぱりダメなのかな?
「やめる?」
あたしが切り出すと、美咲は思い切り首を横に振った。
「やだ!悠真のほうが大事だもん!」
「そっか。」
早歩きになる。
あたしのほうが美咲よりずっとスキだって思っていたけれど、違うのかもしれない。
同じくらい、美咲も悠真を想っているんだ。

「こっちこっち!」
岩見が遠くから手を振っていた。
あたし達は駆け寄り、合流した。
悠真がいる。
悠真との夜・・・。
「明莉おろしてる。」
悠真が先に話しかけてくれたのはあたしだった。
「おろしてる?大根おろし?」
岩見がふざけてあたし達は笑い出した。
「静かにしなきゃぁ。」
美咲は焦ってあたし達を止めた。
楽しい夜も美咲にとっては地獄なのかもしれない。
そう考えるとじっとしてられなくなった。
「美咲、帰ろう。」
美咲の細い腕を引っ張り、あたしは無我夢中でその場から去ろうとした。
「なんで?花火・・・」
美咲の大きい目はきょとんとしながら、悠真の元へ戻ろうとする。
「悠真のためならなんでもするっておかしいよ。したくないことはしちゃだめなの!」

気づくと美咲の携帯の着信音が鳴り響いていて、
あたしの携帯はびくともしなかった。