「唯ぃ~、行こッ♪」

「はいはい」

紗希は休み時間になると必ずこのセリフを言う。そういって私達は1組へと向かう。

「きゃー!!今日もサイコォだぁ…圭君♪」

横村圭。紗希の想い人。背は高めで黒髪。
顔は爽やか系?
まぁまぁモテる方だ。

今回のは悪い奴じゃなさそう。

「いいなぁ。私もトキメキたい!!トキメキがないーーー」

私は中1の時、3年生だった先輩に恋をした。
それはもちろん片想い。
それからというもの私のトキメーター(トキメキの機械)は0をキープしている。

「唯には坂田君がいるじゃん。」

…………。

「翔也はただの友達!」

そう言うと紗希は横村君から目をそらして私の方を見た。

「同じ団地に住んでるんでしょ?」

!?!?!?!?

「なんで知ってんの??」私は思わず大声で叫んだ。

「坂田君が団地に住んでるって言ってたもん。こんなに大事な事早く教えてよね!」

紗希は頬を少しだけふくらませた。

「…ゴメン。タイミングが…」

今は何を言っても言い訳にしか聞こえない。

「罰として唯には圭君のアド聞いてきてもらうー!!」

えええええ!?

「ムリだって!私話した事ないのに。」

…………

「ああ、もうわかった!!近いうち聞いとくから! 許してっ!ねっ!」

私は沈黙にたえきれず、承諾してしまった。

「許す!!」

そういって笑った紗希はとてもかわいく見えた。