しばらくすると横村君がきた。
「あ、岡野さん…こんにちわ」
「…こんにちわ」
「何そのぎこちない感じ!」
「だってあんまり喋った事ないもん!」
横村君は紗希の隣に座った。
「あ、圭!唯!私お母さんに花に水やっててって言われてたんだ!ちょっと行ってくる!」
「ちょっ!ちょ、ちょ!!」
えー!!
紗希は走って外に行ってしまった。
「岡野さん」
横村君が急に話し出す。
「翔也が東京帰るって、1番最初に聞いたの俺なんだ。」
「…え?」
「翔也、岡野さんに何て言えばいいのか悩んでた…」
……そうだったの?
……翔也…
「帰る前も、また岡野さんを泣かせたって…ずっと言ってた…」
嘘……
「俺が岡野さんを泣かせてるって……大事にしなきゃいけないのにって…」
「…………」
気づいてんだ…
いつも泣いてた事…
隠してもムダだった?
やっぱり私が翔也を困らせてたんだ……
……ごめん…
ごめんね、翔也…
「翔也は…岡野さんの事すごく大事に想ってるんだよ。なかなか口には出さないけどさ……すごい…岡野さんの事好きなんだと思う…」
「……ありがとう、横村君……教えてくれて」
「いや…俺は…」
ううん…
ありがとう。
翔也はちゃんと私に
“好き”
って言ってくれたよ。
たくさん幸せをくれたよ。
ちゃんと大事にされてるって感じてるよ…
「横村君も紗希を大事にしてねっ!」
私が言える立場じゃないけど……
「うん、これからも、もっと大事にするよ!」
横村君の笑顔は眩しくて、とても素敵だった。