「……翔也…」
「…何?」
「…何にもない!!」
私達は目を合わせて笑った。
…ガタン…ガタン…
電車が来た…
「来ちゃった…」
「…うん」
翔也はもう1度私を強く抱きしめた。
そして、
おでこにキスをした…
「…じゃあ、行くね」
…泣くな、私…
翔也はイスの上に置いていた荷物を取ってから、また私の前に立った。
「……じゃあね…」
今度は唇にキスをして…
私の頭を撫でた。
「毎日メールしてっ!!電話してっ!!」
私は電車に乗り込む翔也の背中に向かって叫んだ。
「……ねっ?…翔也?」
……こっち向いて?
「今日は雨だね、とか、教室に狼が出た、とか、少しの事でもいいから私に話してっ!」
本当に何でもいいから…
「……教室に狼は出ない!!(笑)」
翔也は振り返って笑った。
「…………私の事……忘れないでね」
「…そっちこそ!!」
―シューッ―
電車のドアがしまる…