『ギリギリ…セーフ!!』
テレビの時間には間に合った。
時計は10:00をまわった。
止まってなんかくれない。
今日はもう帰らないと…
「翔也、私帰るね」
「あ、もう遅いな…送る」
「いいよ!同じ団地じゃん!すぐ着くからぁ」
「ううん。送る」
……翔也の優しさ…
最後の最後まで…
私はたくさんもらってきたね。
…ありがとう。
翔也の部屋を見渡す。
染み付いた翔也のにおい。
大好きだよ。
窓から見える海。
私の部屋よりいい眺め。
居心地の良すぎたこの空間。
もう……
入れるのは今日で最後?
「唯、送るから…」
「………うん。」
ゆっくりと立ち上がり、私は翔也の家を出た。