<翔也>
直基が帰る前、俺は直基に言われた。
『本当は俺が唯の側に居たかった』
って。
だいたいはわかってた。
いっつもおんなじ子を好きになる俺等…
だから直基に唯を会わせたくなかった。
でも遅かったな…
直基は俺より先に、唯の事想ってたんだ…
『俺が唯を笑わせたかった』
……ごめんな、直基。
一生、口に出して言うつもりはないけど、直基は俺の大事な親友だ…
他のモノは譲れても、唯だけは譲れない。
俺だって唯の側に居たいから…
この先も、唯を笑わせたいから…
『……唯を…大事にしろよ…』
そう言った直基の顔は、大人だった。
……ありがとな…
『…唯を泣かせんなよ』
『……おぉ…』
『…唯を悲しくさせんなよ』
『……おぉ…』
『………唯を……』
なぁ、直基…
本当はあの時、
最後になんて言うつもりだったんだ?
……お前も…
唯が大事なんだな…
やっぱり俺等は…
…似てるよ。