「じゃぁ最初の部分、演じてみよぉ」




優ちゃんはどっかから見つけて来た赤いメガフォンを使ってそう言った。




皆は机とイスを寄せて大きくスペースを空けた。




演技をするのはあたしと矢野くん…たった二人だけ。




なのに10人程が隅の方であたし達を見つめたいた。




「何で見ている方が人数多いのっ?!」




「当たり前でしょ。本番は大勢の観客がいるのよ?10人くらいで何文句言ってるの」




さすが熱の入る優ちゃん…何も口出し出来なくなる。




矢野くんはやる気満々で台本片手に台詞を練習している。




もう…本当にどうなっても知らないんだから!!




「お…おう…どうして…ロミオは…」




"どうしてロミオはロミオなの?"




なんてベタな台詞…だけどあたしはガチガチに緊張して上手く演じれない。