「けど、ずるい」




ずるい?




祐一くんの言葉がいちいち耳に引っかかる。




意味深のような、深くないような言葉…




ゆっくり顔を上げて窓の外を見る。




気づけばこんなに高く昇ってたんだ。




…今頃どうしてるかな、奈美。




「怖くないの?高い所」




「えっ」




高い所が苦手だと気づかれてた事に驚いて、思わず立ち上がってしまった。




その衝撃でまた揺れてしゃがみ込んだ。




「…っ」




「そんな所でしゃがみ込まないで、座れよ」




そう言って祐一くんは手を差し伸べてくれた。