「使わないのー?」




「使わない。じゃなくて使えないの」




断固拒否すると圭太くんは諦めて傘を振り回していた。




「初実ーっ掃除終わったよ…え?圭太くん!」




掃除の終わった奈美が教室の扉から顔を出すと、あたし達の姿が見えて驚いた。




「奈美ちゃんじゃん♪初実ちゃんと一緒に帰るの?」




「初実とは帰る方向違うよー」




二人が会話をしてる内に、圭太くんと奈美は帰る方向が同じだと分かり、話の流れで一緒に帰る事になったとか。




「初実ごめんねー、先帰るねー」




「いいよ!二人ともバイバイ」




「「バイバーイ」」




…帰ったのはいいけど、あたし一人になっちゃった。




教室は先生がカギを閉めて入れなくなっちゃったし、どうしよ…




雨が止むまで廊下で待ってようかな。