あとちょっと…
あとちょっとで終わる〜!
会社の時計をチラチラ見ながら、パソコンに向かって仕事をする私…。
あ〜ヤバイ…!!
もう顔がニヤケてきちゃったよ〜!
『花音(カノン)ちゃん!今日はご機嫌だね〜!』
上司の中村さんがパソコン画面を横から覗いてニヤニヤしてるけど、私は愛想笑いを適当に返して仕事に集中。
今日は、話してる時間すら勿体ないんだから…!
よ〜し…!
あとは、このデータだけ入力をしちゃえば……
自然とキーボードの上で動く手が早くなっていく…。
そして……
「終わった〜!」
今日の仕事……
全部終了っ!!
「花音、お疲れっ!これから飲みにでも行かない?」
パソコンを閉じて、資料を片付ける私のところに、同僚の玲奈(レナ)が駆け寄ってきた。
「ごめんっ!今日はどうしても無理なの!大切な用事があるから…!」
パンッと手を合わせて謝ると、玲奈はニコッと笑みを浮かべた。
「分かってるよ〜!彼氏とクリスマスデートなんでしょ?知ってたけど、ちょっと誘ってみたの!だって、花音、さっきからニヤケてばっかりだったからさ〜!」
うそっ…
そんなに分かりやすい顔してたんだ…。
「いいなぁ〜!楽しんできなよ!」
「うん、ありがとう!」
デスクの上をサッと片付けた後、ロッカーに足早に向かい、バッグの中から携帯電話を取り出した。
あっ…!!
メール来てる来てる…!
開けてみると、もちろん送り主は……
智宏(トモヒロ)…。
お昼過ぎ頃にメールくれたんだ……。
今日、ちょっと早めにお昼食べたから、すぐに見れなかったなぁ…。
私はドキドキしながら、メールを開けた。
“花音、仕事お疲れさま!今日、一年前のあの場所で会うの楽しみにしてるからな!
それじゃあ、また後で!”
短めなメールだけど、智宏の言葉に、胸が温かくなっていく。
早く…
早く智宏に会いたいよ…。
急いで服を着替えてコートを羽織る。
あんまりオシャレは得意な方じゃないけど…
今日のために、前もって色々と服を買ったんだよね…。
智宏には、ちょっとでもオシャレした私を見て欲しいから…。
最後にロッカーの小さな鏡に顔を映すと、満面の笑みを浮かべている自分に、少し驚いた。
わっ……
かなり顔に私の今の気持ちが反映されちゃってる…。
でも、それくらい嬉しいし、待ち焦がれた日だから仕方ないか…!