そう言ってメガネを拾うと早足で教室を出て行った。


なんだ、今の?!
ずっと好きだった、なんて漫画とかドラマの話しかと思ってた!
夏木君に散々ロマンチックを押し付けまくっていたくせに、いざ自分がそんな状況になってみると恥ずかしくて仕方ない。
帰ったら夏木君に謝ろう…。


ふ、と目に入った物を見てあたしは、あー!?と叫んだ。


そこにはさっき譲り合っていた世界地図が転がっていた。
きっとわざと木村君があたしのために置いて行ったんだろう。


『どうしたらいいのか誰か教えてよー…』


誰もいない教室に情けなく呟いたあたしの声だけが小さく響いた。