「あ、はい…。
吐き気がしたらしく、ちょっと動けなかったみたいで。
多分貧血だと……。」


ホッとして、弘子を見送ると、高橋を教室に一人置いて来た事に気付いた。


小走りで教室に戻ると、高橋の姿がなかった。
木村を捕まえて聞くと、少し怒った表情で返した。


「帰っちゃったよ。
夏木君が他の女の所に血相変えて行くもんだから。
はい、高橋さんから夏木君に頼まれてた仕事ってゆうやつ。」


「…一人にしたのは悪かったけど、少しぐらい待ってられるだろ…。
何で帰るんだよ…。」


MDをギュッと手で握り締めて呟いた。