『もう全く…ちょっとだけだからね。』


「よっしゃ!
じゃあ待ってますね!」


爽やかに長い足を弾ませながら走り去る彼をあたし達は見送った。


「…子犬みたい。」


「ね、なんか可愛い!」


二人がクスクスと笑う姿を見て、あたしまで笑顔になった。


悦子とまなと一緒に放課後体育館へ行くと、走り回っていた男子達が一斉にこちらを向いて驚いた顔をした。


その中で一人だけ、姫~!と嬉しそうに手を振る嵐がいた。


ジャージを捲って走り回る嵐は、いつもの子犬みたいな感じとは少し違って男っぽく感じた。