あたしの事をチラリと見て、本をパタン!と閉じて近くに来たのが分かった。


「…お前に怒ってんじゃない。
ちょっとイライラしてるから、今日はもう俺に話しかけんな。」


ポン、と頭を本で叩かれた。


ちょっと冷たくされただけで泣く程ショックで悲しいなんて、どうかしてる。


後から恥ずかしさが沸き上がり、次の日は先に家を出ようと決めた。


一方部屋に閉じこもった怜は、罪悪感を感じていた。
本当は自分が愛美を助かるつもりだったのに、木村に目の前で抱き寄せられた愛美を見て、悔しかった自分がいた。


それでも仕方なかった、あいつが庇うのは当たり前だと思っていたのに、愛美があんな風に説教なんかするから腹が立って冷たくしてしまった。