大切だった物を失った喪失感は思ったより辛かった。


段々夏が近づいてきて、制服もシャツに変わってきた頃。


最近夏木怜は綺麗な顔で哀愁漂った空気で周りの女子をときめかせていた。
もちろん自覚はしていない。


弘子と別れてから一人教室で物思いに耽っている事が多い。
その表情と空気がたまらなく色気を感じさせたのだ。


「ねぇ…夏木君、落ち込んでるのかな?」

「え?
夏木君が振ったんでしょ?」

「夏木君が振られたって聞いた。」

「でも…やっぱ夏木君前に増して、いいよねぇ~…。」