すると先生は、隣でしょんぼりしだした。


「おれのこと嫌いか...」


「え!?違――」


「そうか...」


あたしをからかってるのはわかってる。

それでもやっぱり、先生にはかなわない。


「嫌いじゃないです!好きなんだってば」


あたしはきっと、先生しか見えてないから。


「そうかそうか」


にやりと笑って、先生は嬉しそうに言った。

やっぱり、こんな先生が好きなんです。



「ねぇ――」


びくっとして、思わず顔をあげた。


「目、閉じて」


言われるがまま――ドキドキしながら目を閉じた。


またあたしの身体じゅうに、ぽうっと熱が沸いてくる。



二度目のキスの気配を感じて待っていたのに――

何も起きないから、あたしが少し、目を開けてみると。


「!!」


先生の手が、あたしの服の胸元のボタンにかかっている。


「なにしてるんですか!」


「いやー、冗談冗談」


「もう知りません!」


胸元を押さえながら、プイと横を向く。


「ほら、零――」


でも。

呼ばれてすぐに振り向いてしまうのは――


やっぱり、その声に弱いから。