左手を、急につかまれた。
「あ――」
左隣には、熱帯魚を見つめる先生。
初めて手をつないだんだと理解するのに、そう時間はいらなかった。
「離すと――おまえどこかに飛んでいきそうだ」
そうつぶやいて、先生は小さく笑った。
暗がりの中でよかった。
じゃなきゃ、顔が真っ赤になっていたのが先生にばれてしまっていたに違いない。
その後は少し混雑していて――あたしたちはすぐに手を離してしまったけれど、
先生がすぐにつなぎなおしてくれた。
その時もあたしは、恥ずかしくて下を向いていた。
水族館を出る頃には、日は傾いていて、辺りをほの暗いむらさき色に染めていた。
ちょうど、指輪と同じ――初夏独特の、夕暮れの色。
水族館を出てすぐの、海の見える堤防沿いを歩いた。
「楽しかった?」
「はい!もちろん」
すると急に先生に抱きしめられた。
びっくりして思わずもがいてしまって――。
でも、先生は笑っていた。
「おまえは育て甲斐がありそうだな」
「あ――」
左隣には、熱帯魚を見つめる先生。
初めて手をつないだんだと理解するのに、そう時間はいらなかった。
「離すと――おまえどこかに飛んでいきそうだ」
そうつぶやいて、先生は小さく笑った。
暗がりの中でよかった。
じゃなきゃ、顔が真っ赤になっていたのが先生にばれてしまっていたに違いない。
その後は少し混雑していて――あたしたちはすぐに手を離してしまったけれど、
先生がすぐにつなぎなおしてくれた。
その時もあたしは、恥ずかしくて下を向いていた。
水族館を出る頃には、日は傾いていて、辺りをほの暗いむらさき色に染めていた。
ちょうど、指輪と同じ――初夏独特の、夕暮れの色。
水族館を出てすぐの、海の見える堤防沿いを歩いた。
「楽しかった?」
「はい!もちろん」
すると急に先生に抱きしめられた。
びっくりして思わずもがいてしまって――。
でも、先生は笑っていた。
「おまえは育て甲斐がありそうだな」