その後は――市内のはずれにある大きな公園の駐車場に、車を停めた。

普段は親子連れで賑わう広場も、平日だし日も暮れていたこともあって、静かなものだった。


先生とあたしは、そこをあてもなく歩いた。

ふたりの間には人ひとり分の距離が空いていたし、なんだかぎこちなくて会話も弾まなかったけれど――


あたしは、すごく幸せだった。



帰り際。

目印の本屋が近くなってきたとき、無口だった先生が口を開いた。


『次、いつ会える?』


あたしたちは次の日曜に会う約束をして――。





「――で、のろけ?」


けっ、と、アキちゃんが毒づいた。


「ち、違うちがう!ただ、報告を...」


「それをノロケと言うのよ。ねー、雄太!」


「うんうん。まったくだ」


隣で雄太くんが、意味ありげにうなずいている。


翌日の、放課後。

いつものように帰宅部3人は、近くのファミレスでつるんでいた。


「まあ、よかったじゃない」


アキちゃんは、にっこり微笑んだ。


「中学ん時から好きだったんでしょ?――よくやったじゃないの、零」