『じゃあ、学校そばのコンビニまで迎えにくるから』


先生に言われたとおり、コンビニで雑誌を見ながら待っていた。

信じられない、けれども自分でも抑えられないくらい胸がドキドキしている。


しばらくすると、窓ガラス越しに、見覚えのある黒い車が停まった。


あ――


降りてきたのは、メガネをかけた長身の男性。

彼はすぐにあたしを見つけて、店の中に入ってきた。


「待たせたな」


「あ、いえ――」


まともに、先生の顔が見れない。

これは夢?


「行こうか」


ぼうっと立ったままのあたしを促して、先生は先に歩きだした。

追うようにして、あたしも急いでコンビニを出た。



車に揺られながら。

あたしと先生は恐ろしいくらい無言だった。


だって、何から喋ればいいのかわからない。


ちらっと横目で先生を見ると、窓枠にひじをついて運転している。

綺麗な横顔。
やっぱり信じられない。



どうか夢であってほしい――。

でも、夢ならどうか醒めないで。



ひとり悶々と考えこんでいたら――ふいに先生が口を開いた。