夢かうつつか。


「――え!?」


「マジ?」


昼休み。
お弁当を食べながら、おそるおそる小声になってアキちゃんと雄太くんに報告した。


「――どうも夢じゃないらしくて。あはは〜」


あたしは笑って、恥ずかしさをごまかした。

向かい側のふたりはあ然としている。


「よ、よかったじゃん...!」


先にアキちゃんが我に返って言った。


「そっ、そうだよ!よかったね、零!」


「あはは、ありがとう...」


でもあたしは不安だった。

先生は――どういうつもりなんだろう。


本気なのか――はたまた、ふざけてるのか。


「どっちから告白したの?」


雄太くんが、不思議そうにあたしを覗きこんだ。


「あ、あたしから...なんだよね」


「ふーん」


「――しかしえらく早い展開になっちゃったわね!昨日はあんなにメールが来ないってピーピー言ってたのに」


そこでアキちゃんはしみじみと言った。


「――零も彼氏持ちなのねぇ」





彼氏。

これといった実感がわかないまま、運命の放課後を迎えてしまった。