「え!?」


とにかく、ごまかすしかないと思ったあたしは――急いで話題を変えようとした。

でも、相変わらず先生は、くっくっと笑いを抑えている。


「――そうそう!学校でね、面白いことがあったんですよ!」


そう明るくまくしたてた語尾は震えている。



――どうして?

どうして、先生がそんなこと言ってるの?


まるで酸欠状態のように頭がクラクラして、なにも考えられなかった。


でも、そんなあたしをからかうように、


『好きなんでしょ?』


と、大好きな鶴城先生の声。


「ち、違います!」


あまりにも恥ずかしくて、あたしは思わずそう叫んでしまった。

すると、捨てられた子犬かと言わんばかりに、


『――違うの?じゃあ、俺の勝手な勘違いか...』


寂しそうな声が聞こえる。

あたしは、冷静さを失っていた。


「いや、違っ――!」


そしてついに、罠にかかってしまった。




「好きなんです!」




向こうから先生の笑い声が聞こえて――あたしは、はめられたことに気がついた。

でも――


そのあとに。




『――おれも好きだよ』