「なんか久しぶりだから、嬉しいんです」





『――ん?』


あ――

なんかあたし、ずいぶん意味深で恥ずかしいこと、言っちゃいました?



「あ、いや――」


そのままふたり、押し黙ってしまった。

やばい、どうしよう。


長い沈黙が続いたあと、先生が思いついたように喋り出した。


『そういや――彼氏とか、できそうなん?』


「――え!?」


あまりにも突然のことで、あたしはひどく驚いてしまった。

そんな恋の話なんて――先生に話題をもちかけられたことは今まで一度もない。


「いや、全然ですよ!」


『おまえ、前に話してたじゃん?ほら――男と仲良くなった、って』


「あ、ああ。でも彼はやっぱり仲いいだけで――完全に友達って感じです。顔もキレイだから、あたしなんか対象にならないし」


先生にあたしの想いを悟られないように、あたしは早口でまくしたてた。

電話の向こう側、先生はときどき、ふぅん、と相づちを打っている。


先生の気持ちが全く読み取れなかった。