「――てな感じで、どうにか友達もできてうまくやっていけそうです」


学校生活にも慣れ始めた、4月の下旬。


『そうか。よかったな』


突然、鶴城先生からかかってきた電話にドキドキしながら出ると、いつもと変わらない低い声が聞こえた。

――学校はどうだ?、だって。


「最近じゃそのふたりと、毎日のように放課後遊んでますよ」


『まぁ、高校入ったすぐって暇なもんだしな』


「――大学は?先生って4年生なんですよね」


『うん、今年から何かと忙しそう』


じゃああんまり会えないのか、と考えてあたしは恥ずかしくなってしまった。

先生があんまり優しいから、なんだか先生の彼女になったみたいに感じて――自惚れてしまう。


いかんいかん。

そういえばあたし、まだ告白していない。


『また高校の勉強がわからなければ見てやるからな』


そう言われて嬉しくって、あたしは心に決めた。


先生に告白する。


だって、先生の彼女になりたい。

週末の予定を独占したい。


こうして、あたしの幼稚なかけひきが始まったのであった。