そして、もうひとり。


「――あっ、雄太じゃん」


アキちゃんの声にあたしは後ろを振り返った。


「思い出してくれた?」


あたしの後ろの席には、アキちゃんににっこりと微笑みかける、背の高い男の子。


「久しぶり...まさかおんなじ高校だなんて」


彼は、あたしの後ろだから――たしか、名前を瀬名くん、といったはず。

どうやらアキちゃんと知り合いのようです。


「あ、零ちゃん――コイツ、あたしの幼なじみで雄太。でも小学生の時に遠くに引越して――」


「それ以来、ご無沙汰だったんだよね?」


涼しい顔で、瀬名くんは言った。


「よろしくね、沢村さん」


微笑んだ瀬名くんは、ドキッとするくらい綺麗な顔をしていた。

長いまつげと、男の子にしては大きな瞳で、

ほんの少し明るくした、くせのある髪。


「う、うん――こちらこそ、よろしく」


こうして、あたしにはかけがえのない人がまたふたり、増えたのでした。