食事を終えると、先生が静かに言った。


「今日は――時間は大丈夫なのか?」


「はい、門限までは」


「門限?」


「8時です!夜の」


そこで先生は可笑しそうにあたしを見た。


「さすが中学生。門限付きか」


「子ども扱いしないでくださいよ!明日には高校生なんですから」


はいはい、と、軽くあしらいながら――先生は優しく微笑んだ。


「これから、どっか行くか」


「え――」


予想していなかっただけに、あたしは言葉が出なかった。

そうこうしているうちに、先生は伝票を持って、レジへと向かっていた。





それこそ、ほんとにデートになってしまったのです。


ムスクの甘い香りがする先生の車は、なんだか乗るのにドキドキしてしまった。

正直、男の人の車って――お父さんや親戚のおじさんの車にしか乗ったことがない。


「ど、どこに連れてってくれるんですか?」


あたしはますます緊張していた。


「ん――なんも考えてない。ドライブがてら車を走らせるよ」


春の日差しは、とても暖かかった。