『明日の11時にな』


先生から来たメールで、あたしは心を決めた。


せっかく先生が、あたしの為に時間を作ってくれたんだ――

あたしも明日は生徒になって、勉強だけに集中しよう。



でも。

先生の私服ってどんなのなんだろ。

車とかって、やっぱ持ってるのかな。



乙女の妄想は膨らむばかり。


明日、先生の話とかもいろいろ聞けたらいいな。

でも先生、やっぱ彼女とかいるのかなぁ。

けどもし彼女いたら、あたしなんかとメールしないよね。

でも――やっぱり単なる生徒のひとりでしかないのかな、あたしって。



そういえば、寝起きの顔のむくみが取れるには3時間かかるって聞いたことがある。


じゃあ明日は7時起きか――





「あら、あんた今日は早いのね」


翌朝。

寝ぼけまなこで戦隊ヒーローのテレビを見ていたら、母親が起きてきて不思議そうにあたしに言った。


「今日ちょっと用事があって」


お母さんはにやっと笑った。
こういう時のオンナの勘ほど、鋭いものはない。


「――さてはデートね」