もういい!


このまま何もしなければ、何ひとつ始まらない。

あたしは覚悟を決めて――なかばヤケになって、通話ボタンを押した。


プッ、プッ、プッ...


規則的な機械音がやたらと頭に響いて、

あたしの胸の鼓動はますます速くなる。


やっぱりかけなきゃよかった!
声聞きたいけど、電話出ないで、先生!

でも、後悔したってもう遅い。


4回目のコールの後――


『――はい』


嬉しいんだか嬉しくないんだか――愛しい鶴城先生の声が聞こえた。


「あ、あのっ...」


電話は昔から苦手だった。
うまく言葉が出てこなくなるから。


「あ、沢村っていいます!条南中学で――」


『ああ、はいはい』


意外にも、先生の反応はよかった。

でもここで、あたしは大事なことに気づく。


あたし、先生に電話するような用事なんてない――


「あ、えっと――」


どうにかして話をつなぎたいけど話題がない!

どうしよう!


すると先生は、なんでもお見通しだったようで、