海が、沈んできた太陽のせいで赤く染まるまで、あたしたちはそこにいた。


会うことのできなかった6年を埋めるように、

お互いの知らない月日を共有しようとするように、

あたしたちはいろんな話をした。



先生があれから留年して、県外の大学の大学院に進学したこと。

その間、ひとみ先輩に浮気されてるのは先生も知っていたらしい。(だから自分も向こうでは彼女を...?詳しくはわからないけど)

ところが公務員になって帰ってきたとたんに、態度が変わって――


「あいつは鬼だよ」


そう言って先生は笑ったけど、あたしは全然笑えなかった。

だからあたしにしとけばよかったのに、って、そんな思いでいっぱいだった。


「でも、おれがおまえを泣かせてなかったみたいで安心したよ」


そんなの――うそに決まってるじゃん。


「こればっかりは、おまえの彼氏に感謝、だな」


雄太がいても、先生のことを思い出さない日はなかった。

そう言おうとして、すんでのところで――やめといた。