この気持ちだって、時間が経てば消えていくのかな。

だったら、やっぱり恋じゃなかったんだよね。





「――おい!」


後ろから突然声がして、思わずビクンと振り返った。


「え、先生!?」


なんで?


「おまえ、俺の研究授業あんま聞いてなかっただろ。うわの空ってバレバレ」


「あ、すみません――昼だから、眠くて」


うそ。
先生のことで、頭がいっぱいでした。

でも、先生は笑った。


「おまえを指名してやろうかって思ったわ」


あたしも、思わず笑ってしまう。


「意外と、見てるんですね。生徒の顔とか」


「当たり前よ。教師は、いかにして生徒たちに授業に入り込んでもらえるかが大切だ」


先生、なにしにここに来たの?


あたし、

いやでも期待しちゃいます。


「これ」


先生は、白い紙になにかを小さく書きつけた。


「俺のケータイ。おまえにかける勇気があるんなら、だけど」


先生は相変わらず、にやりと笑った。


「なんで――」


あたしは胸がいっぱいで。

「誰にも教えるなよ」