眩しい光とともに、一番にあたしの視界に入ってきたのは――さっき見た、真っ白な砂だった。


その後すぐに、空とおんなじぐらい広がる、真っ青に澄んだ海。


「――海!?」


驚きを隠せないあたしに、先生はしてやったり、という満足そうな顔をしている。


そこは、見事な水平線が遠くに広がる――間違いなく、海だった。

さっきまでは山に囲まれていたのに。


「綺麗だろ。もう夏じゃないけど、寂しい海じゃなくて」


たしかに、あたしの想像していた冬間近の海とは全く違った。

南国を思わせる色鮮やかな海岸は――吹きつける風さえも、あたたかく感じられるようだった。


「きれい」


ため息とともにもれるのは、感嘆の言葉ばかり。


「夏は客も多いんだろうけど――シーズンオフで逆によかったかもな。人も少なくて」


そうつぶやいて歩き出す先生に、おいてかれそうになって――慌てて、あたしも足場の悪い砂浜をついていく。

ブーツのかかとが乾いた砂にめりこんでいく感触が、なんだか妙に心地よかった。