途中、コンビニでお買い物。


お茶と、軽くつまめるお菓子をひとつ。

なんかこれも、普通の恋人たちのデートのようで楽しかった。


会計を済ませて外に出ると、先生は煙草を吸っていた。

やっぱり、あたしにとっては見慣れない光景。


思わず見とれていたあたしに気がついて、先生は笑った。


「おまえは煙草は?」


「吸ったことないです!周りにもスモーカーはいないし」


顔の前で手を大きくぶんぶんと振ったあたしに、先生は複雑そうな笑顔を見せた。


「そのほうが可愛いもんだよ」


誰かさんとは違って、と、

小さく付け足したのを、あたしは聞き逃さなかった。



先生は、ひとみ先輩と――どんな恋愛をしてきたのだろう。


空へと立ち上がる煙草のけむりの中に、なんだか今までの先生の過去が見えるような気がした。

ひとみ先輩と過ごした6年。


あたしの知らない――6年。



嫉妬に駆られる心を必死に抑えていた。