金曜日の夜までの記憶が――すっぽりと抜け落ちてしまっている。


なにをしていたか、自分でもよく思い出せない。

友達から安否確認のメールが入っていないことからすると――どうやら、学校にはちゃんと行っていたようだ。

もちろん、授業ノートは真っ白だったけれど。



そうして今、あたしは明日の準備をしている。

小さめの旅行カバンの中に、化粧ポーチと最小限の着替えを詰めてる。



きっと明日の夜は――先生に、抱かれているんだと思う。



頭の中がグラグラして、ずっと警告音を出し続けているのに――心の中は、いやに冷静だった。


準備をする手がふいに止まると、考えないようにしていても、雄太の顔が思い浮かんでしまう。


あたしは――雄太を、裏切ってしまう。

罪の意識にさいなまれる中でも、あたしの気持ちは止められそうになかった。


やっぱり先生のことがどうしようもないくらい好きだ。

だって先生とあたしは、運命の相手なのだから。