やはりそれは、運命、なのか。


「進路は決まったのか?」


イタイところをつかれてしまって思わず、グラスを持ったまんまかたまってしまった。


「――まだです。就職も決まってないし、院も受けてない」


これからどうすればいいんでしょうね、と、あたしは困った笑いを浮かべた。


先生はあたしになんでも教えてくれた。

だからこれからどうすればいいのか、先生に教えて欲しかった。


でも返ってきた言葉は、あたしの予想していたものとは全く違うものだった。


「――卒業旅行、行くか」


「...へ?」


ぽかんと口を開けたまま見上げるあたしに、先生はにやりと微笑んだ。


「憶えてないのか?約束しただろう」


そう言われて、必死に記憶の糸をたどっていくと――そういえば、そんな約束もあった。

でもあれはたしか、あたしが高校を卒業したら、って約束じゃありませんでしたっけ?


「――ちなみに、どこに?」


ハイとも、イイエとも答えずに、あたしは笑って先生の顔をのぞきこんだ。