ひとみ先輩と、先日あのようにタイマン(?)をはったことで、あたしの中に妙な思いが芽生えていたのは確かだった。


先生に、どうしてももう一度会いたかった。


会って、この雪辱をはらしたい。

あのしたたかな女の本性を、先生にばらしてしまいたい。



――先生が思ってるほど、ひとみ先輩っていい女じゃないですよ。


先生っていう彼氏がいるのに、他に男作ってたみたいだし、

あたしの知り合いなんて、彼氏をひとみさんに寝取られたし。


禁煙席で平気で煙草吸うし。


なんてったって、あたしから先生を奪った女なんて――



だが果たして、先生にそんなことが言えるだろうか。


先生だって、きっと、ひとみ先輩を愛しているだろうに。

そんな先生に、愛する人の悪口を言ったところで――

嫌われるのは、どっちだ。


もうすべて終わった過去の女の、悲しい遠吠え――ひがみや妬みにしか聞こえない。


馬鹿なことを考えている自分自身が、一番むなしかった。