「許さないって言ってるわけじゃないんだから」


ね?と、雄太はあたしの顔をのぞきこむようにして同意を求めた。

やっとのことで、あたしはうなずく。


「雄太は――どうしてそんなに、甘いの?」


「甘い?...ぼくが?」


雄太は一瞬だけきょとんとなり、すぐにぷっと吹き出して笑いだした。


「だって、これは雄太の優しさでしょ...?」


「優しさ?」


鋭くなった雄太の瞳に、ときたま見る――あの焔が、ふたたび宿った気がした。


「優しさって言えるほど、綺麗なもんじゃないよ。
もっと黒くてドロドロした――おれの中の、嫉妬や独占欲のあらわれ」


ふとしたときに見せる表情が、なんだかぞっとするほど怖くなる。

あたしは複雑な思いで、雄太の中の焔を見ていた。



熱いから、と言って一口だけくちびるを触れたキャラメルミルクティは――

もうあたしの体温以上に、冷えきってしまっていた。