あたしはもう、何も言い返すことができなかった。


言い逃れをするつもりは微塵もない。

非はすべて、あたしに、あるのだから。


「――花火も、先生と行ったんでしょ?」


「...っ」


やっぱり雄太は、そこまでお見通しだった。

小さくうなずいたあたしに、それほど驚く様子は見せない。


「零ちゃんのお母さんから、亜樹ちゃんと一緒だって聞いて――ぼくはすぐに先生だって思った。

見たくはなかったけど――この目で、確かめさせてもらったよ」


「っ、じゃあまさか――!」


雄太は、花火大会の会場にいたんだ。

先生の後ろを歩く――浴衣姿のあたしを、はっきりとその目で見ていたのだ。


「まさか浴衣だったとはなあ」


天井を仰いで、雄太が少し寂しそうに笑った。

その声を聞くだけで、あたしの胸は押し潰されそうになる。


――あたしは、雄太を裏切ったんだ。


「でもさすがに、ベタベタひっついてくれてなくてよかったよ」


自嘲ぎみに笑った瞳は――あまりにも、悲しい色をしていた。