アキのお母さんもつい最近、無事に退院したらしい。


「あら、零ちゃんいらっしゃい!こないだはありがとうね」


アキの家につくと、アキママが前と変わらない笑顔で迎えてくれた。


「ちょっとあーきー!零ちゃんが来てくれたわよー」


お母さんが二階に向かって叫ぶと、奥からアキが姿を現した。


「...上がって」


その表情は、びっくりするぐらいこわばっていた。





「で、どうしたの?」


アキの部屋の扉をしめながら、椅子に座るアキに尋ねた。

早く、この不安を払拭したかった。


「あんた――」


アキは、あたしをにらみつけた。


「こないだの花火大会、誰と一緒にいたの?」


なんとなく予想できていたことだっただけに、あたしは動揺を顔に出さずに済んだ。

言い訳は――曖昧にだが、用意してある。


「あ、あのね――」


あたしがその言い訳を、話を組み立てながら話そうとしたとき、


「相手は...先生?」


それを遮ってアキから発せられた言葉に――あたしは真っ青になった。